浮遊感と狂わされて踊る生活
ジュピターズムーン @シネマート心斎橋
どうしても気になっていた映画。
かなりマイナーであっという間に上映が終わってしまうだろうと必死に予定を立て、行った。
不法入国する難民が入国先の警備隊に捕らえられ、銃殺が黙認されている状況。
主人公は医療ミスで病院勤務ができなくなってしまった元医者。多分有能だったが、慰謝料を払うために国境で難民を保護する医療テントで働いている。
繰り返される不法入国の一団が警備隊に見つかり、厄介払いで銃殺されたが、その中の一人の少年が打たれた直後、突然空中浮遊できるようになり行方知れずになる。
混沌とした現状から脱したい医者は発見した少年の不思議を目の当たりにし、感嘆するが、生きるために少年を利用する。
難民の少年を追いかけ回す刑事も、その能力を認めようとせず、自分の思う通りにならない現状からより固執する。
神格化する時、どうしても美形に寄らせがちなイメージだけど、少年が本当にただの田舎の少年で純朴なところがとても良い。
浮遊する空間だけが美しくて恐ろしさもある。
なぜそんな力が宿ったのか? とか、具体的にどういうことが出来て、出来ないのかは謎のままだけどそういうのすべて少年に対する「畏れ」に変換されているし、それ以外は全てまぎれもない現実なので説明がなくても納得させられる。
少年と関わり、病んだ心が癒されるわけではないが、それでもみんなそれぞれに正しいものを求めている。
欲求は同じでも、立場や環境のせいで同じ方向にはならない。
そんな人たちの道しるべがあったら良いのに という気持ちの表れが全面的に感じられて、それがさらに切ないというか世知辛いというか。
ただ狂わされて踊るのだ という感じ。
浮遊感が本当にすごくて、内容的には多分ものすごく辛いんだと思うけど上空シーンも多いし、少年の比喩に繋がっていそうな開放的な画面が多かった印象で見た目にも大変面白かったです。
それぞれに立場や心境が理解できるシーンが無理なく組み込まれていた。
悪い大人と正しい子供。
難民の子供とと公的な役職の大人。
ゴミのような現実と神のような少年。
やっっっっっと書いた。どんだけかけとんや
まとめるのが難しかった。
多分、私は 生死を扱うやつ・正義と悪を問うやつ がとにかくめっちゃ好き。
そういうテーマを取り扱う作品は見るたびに新たな主張と可能性を提示してくれる。
次回は……
ちょっと何を観たか思い出して書きます…
おわり